外国人記者のパプア取材自由化は本当か

ジョコ大統領は先日のパプア訪問中に、パプアの政治犯5名に対する恩赦と共に、 外国人記者に対するパプアへの入域を自由化すると発表しました。 大統領本人が、パプア分離主義運動は過去のものだと発言したように、これはパプア地域の政治的安定をインドネシア国内外に対してアピールしたものです。これらが単なるリップサービスで終わらずパプアの民主化に寄与されればよいのですが、パプアはジョコ大統領一人の権限で事態が好転するレベルで問題が解決する土地ではありません。パプアの豊富な鉱物資源を背景とした、グローバル企業、政治家や国軍・警察等の権益、それに端を発する治安機関の法外で行われるパプア住民に対する暴力、人権侵害問題などを抱える中、パプア独立派は完全な自治権そして、インドネシアからの独立分離を訴えています。結論的に、1963年にパプア行政がインドネシアに委託されて以来、1969年に正式にインドネシアへ併合される中、現在に至るまで根本的な問題解決には至っていません。グローバル企業、国軍、警察、政治家と全てが揃ったインドネシアの○×総合デパートです。簡単には解決しません。 又、それ故、ジョコ大統領も大統領選挙時代からから歴代大統領と比べて頻繁にこの地を訪問視察し、パプア問題に関心を示すスタイルを示していることも事実です。

以下は、本件に関する外国人記者のパプア入域制限撤廃についてのインドネシア内閣官房公式サイトからの発表です。

 

ジョコウィ大統領 外国人記者のパプア取材を自由化

ジョコ・ウィドド(ジョコウィ)大統領は、ジャーナリズムに関する、特に外国人記者にとって重要な発表を行いました。これにより、5月10日(日曜日)から外国人記者による全パプアへの取材活動が他のインドネシアの地域と同様に自由化されました。

「本日、日曜日(5/10)より、私はパプアを取材したい外国人記者に対し、他のインドネシア地方と同様、彼らのパプアへの入域を自由化する」

- ジョコ大統領、メラウケ・ワペコにて -

大統領は、今日まで失われてきたお互いの信頼を回復させ、パプア問題を前向きに考えていくよう、あらゆる陣営に呼びかけました。大統領は、外国人記者がパプアへ入域したとしても、今となっては、それで国民が扇動されることもあり得ないと確信しており、又、長年計画だけはされていたインフラ開発プロジェクトも現実化する段階に入っています。

パプアで武装集団の活動ばかりを取材する外国人記者に対する見解を求められたジョコ大統領は「偏った質問の無いように」と答えました。

ジョコ大統領は、イリアナ夫人と共に、メラウケを訪れ、米の収穫行事に参加し、その後、灌漑施設にてティラピアの稚魚の放流を行いました。同時に、現地の農民らと話し合いを行い、大統領の問いに答えられた人々に自転車が配られました。

以上

 

外国人記者のパプア入域は今まで通り条件付

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テジョ・エディ政治・法務・治安担当調整相

ところで今回ジョコ大統領のパプア訪問に同行した元海軍出身の政治・法務・治安担当調整相テジョ・エディは、ジョコ大統領の発表に関し「今パプアにあるのは平和であり紛争ではない。我々のパプアへのアプローチは治安ではなく公正と福祉を基とした開発だ」としながらも「誰が入域できるかのセレクションは必要だ。これは、彼らの安全に責任を持つ国軍と警察による治安問題だ。何かあればそれは我々のせいになってしまう。よってそういった選考が行われるだろう」と述べ、各地域に対する取材許可の申請を前提とした入域であると説明し、更に、報道内容は中傷を含まない事、事実に反することを報道しない事、インドネシア政府の批判をむやみに行わない事などがパプアへの入域「条件」だとしました。平和で紛争が無く治安的アプローチが不要になったパプアと言いながら、記者の安全に関し治安問題を言及しています。このテジョ調整相は失言が多くしゃべりが達者でない大臣として有名な人なのですが、要するに現段階では具体的な自由取材のためのルールは規定されておらず、記者の入域はインドネシア政府マターで許可を出す出さないという根本的な原則は変わっていないというのが現状だと思います。

外国人記者が彼らのシナリオだけを完遂するために、問題がある国軍・警察の管轄地や自由パプア運動(OPM)等の反政府組織を自由に取材出来るようになるというのは常識的に考えてないでしょうし、逆にインドネシア政府の広告塔となるべく平和なパプアを謳うために入域する海外メディアも本筋から離れます。そういう親インドネシアなパプア報道を行うメディアは国家間の政治に介入している可能性も示唆され得ますので、そういう視点で外国メディアの報道を見る必要はあるかもしれません。外国人記者は問題があるから入るのであって、インドネシア政府の政策で幸せになったパプアの人民を全世界に報道するケースは現段階では、本筋ではないということです。ジョコ大統領は、歴代大統領と比べ、国軍・警察に基盤がない大統領だとされています。ここがネックとなり、現在も警察と汚職撲滅委員会の紛争問題などが停滞しており、過去に国軍が行った人権侵害問題や汚職問題に対する言及力も現状の政策発表などを見る限り、強いとは言えません。

 

参考:
http://setkab.go.id/presiden-jokowi-bebaskan-wartawan-asing-tugas-ke-papua/
http://nasional.kompas.com/read/2015/05/11/05140091/Tedjo.Pers.Asing.Masuk.ke.Papua.Tetap.Harus.Ada.Syarat?utm_source=WP&utm_medium=box&utm_campaign=Kknwp
画像:
http://www.merdeka.com/peristiwa/komisi-i-desak-pemerintah-tetap-awasi-jurnalis-asing-di-papua.html

 




 


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