ジョコ政権の看板娘スシ・プジアストゥティ海洋水産大臣は、密漁船撃沈やトロール漁法の禁止、 大型船に対する操業許可の一時発行停止など、インドネシアの漁場を違法漁業から守るため、様々な海洋政策を強行実施し国民の支持を得ていますが、逆にこれらの措置によって地元漁師や企業の収入が圧迫されていると非難も浴びており、ジャカルタではインドネシア各地の漁師が集結して大規模なデモ活動も起っています。又、日本政府も行き過ぎた漁業規制に対し抗議を行っている模様です。そんなスシ大臣ですが、彼女にも何やら色々な圧力がかかっているみたいです。
スシ海洋水産大臣を5兆ルピアで買収?!
「私の退陣料は5兆ルピアらしい。なかなか素晴らしい金額じゃないか。中卒の私にこんな高額評価が頂けるとは、誇りに思わねば」
-スシ・プジアストゥティ-
5月13日付のdetik.comによりますと、スシ大臣は某水産関連企業から海洋水産大臣辞任の要求及びその代償金として5兆ルピア(約500億円)を用意するという提案を受けているそうです。これに対しスシ大臣は「多くの人々が私を蹴落とそうとしている。彼らは全員、違法漁業関連者」と報道陣の前で簡単に回答しました。 5兆ルピアで大臣を降りろという脅しについては「もし退陣するのならそれは私の名誉のもとに行われる。私のプライドと自由を引換になどあり得ない。私はプライドと自由無しには生きられない」とツイッター上で答えています。
スシ海洋水産大臣、早くも大臣辞めます発言
実はこれに先立って、スシ大臣は大臣辞職をほのめかす発言を何度かしています。
「2年で十分。疲れる。嫌がらせがあまりにも多すぎる」
-スシ・プジアストゥティ-
上記発言は、2月12日、海洋水産省内での報道陣に対する回答ですが、この伏線は、前日のMETRO TVの冠番組「MATA NAJWA」で名物司会者ナジュワと行った対談にあります。以下がトーク内容の抜粋です (フルは下記動画にて)。
ナジュワ: 大臣を2年で辞めてしまうと言う話は本当ですか。
スシ: まあ、仰る通りです。子供も大きくなって、孫もいる。しかしその前に、省の規定をしっかり整備し、省に根付かせていくのが先です。私はそれで十分だと思っています。
ナジュワ: 本当にたった2年で十分だと思っているんですか?
スシ: まあ、そう思っています (I think so ya)
ナジュワ: えっ? 普通、大臣の期間は5年で、一般的な大臣は職務の延長を請願するっていうのにあなたという人は。
スシ: (返答に困惑。含み笑い)それはちょっと長すぎる。もっといい人物も現れるはずです。 だいたいそういう感じです。
ナジュワ: 貴女の計画では本当に2年間だけで辞めておしまいになられる………..どうすればその計画は変更できますか?状況によって変わりますか?
スシ: 今言えることは、話した通りです。長くやることは今は考えていない。しかし、ベストを尽くします。
ナジュワの質問に、困惑と笑いを含ませつつも、スシ大臣の表情は真剣で、その瞬間は冗談トークで笑いを取るといった雰囲気はありませんでした(下記ビデオ、6:45辺りから)。 翌日報道陣に対して回答した「嫌がらせがあまりにも多すぎる」発言は、先日の5兆ルピアで退陣発言に行きつきます。彼女が水産業界から少なからず圧力を受けていることは間違いないでしょう。
滑って転んだけど、がんばれスシ大臣!
そんな、スシ姉さんが、先日事故ってしまいました。 ジャカルタ滞在邦人の某氏がツイッター上で「この人すげー体柔らかいのに滑ったってよっぽど無理なポーズしたんじゃないか?w」と指摘されたように、彼女は下記写真にもある通り体は柔軟なのですが、この度、海の女スシ・プジアストゥティは不覚にも、彼女の庭であるインドネシア海域、パプア・ラジャアンパットにて、桟橋からスピードボートに飛び移る際に、思わず滑って足を怪我したとの事です。車椅子の写真は事故後訪れた南スラウェシでのもので、松葉づえの写真は先日の大統領宮殿で行われた閣僚会議後のものです。日に日に回復している模様で安心しました。
メディアから名前が消えてしまったジョコ新政権大臣が多い中、怪我をするだけでメディアのトップを飾ることが出来る数少ない大臣がスシ・プジアストゥティという人物です。彼女に関しては、中卒、酒飲み、喫煙者、刺青、独身子持ち、元夫は二人とも西洋人の飛行機会社社長といった大臣の業績とは関係がない側面ばかりが強調されがちですが、各方面から圧力がかかるということは、それだけインパクトがある仕事をしているということを物語っています。そんな彼女がもし2年で内閣を降りてしまう場合、彼女のファンのみならず、ジョコウィ政権にとっても大きな痛手となるかもしれません。
機会があれば密漁船爆破以外の彼女の大臣としての実績も追ってみたいと思います。
(追記:2016年5月5日)
あ、ちなみに某サンケイ新聞が定期的にスシ大臣が「中国船を見せしめ爆破」等々リード張ってアクセス獲得に努めておられますが、実際は以下の通りです。現状、スシ大臣は中国密漁船に対して事実上、全敗中。現政権が拿捕した中国船は、実に一隻たりとも沈められてはおりません。彼女自身、それに憤慨しておられます。まったくねえ。。。
民族覚醒の日に密漁船20隻を撃沈!?そして中国船は?!【前編】
国民の覚醒の日に密漁船20隻を撃沈?そして中国船は?!【後編】
中国海警局海警船による中国密漁船の強行奪取とインドネシア領ナトゥナ海域
うそばっかりのサンケイ「インドネシアのスシ海洋水産相が中国船爆破」シリーズ
以上
※ 尚、当サイトではスシ海洋水産大臣に対する批判的な記事を時々掲載していますが、基本的に筆者はスシ大臣がんばれ派です。